香水瓶の世界:東京都庭園美術館

2010年10月18日
目黒の東京都田園美術館で開催中、
きらめく装いの美「香水瓶の世界」へ行く。
 
香水瓶の世界
 
くしゅん、あるいは、ぐずぐず、と、
鼻の具合が日頃よろしくない体質であることはさておきまして、
香水瓶の歴史がわかる展覧会があることを知り、目黒へ行ってきました。
会場は東京都庭園美術館。建物自体が格式ある貴族風洋館、といった体なので、
きらびやかな香水瓶たちを展示する場として、まさにベストマッチだったように思います。
 
展示は古代から近代、現代と、
香水瓶の歴史的な歩みが順繰りにわかるような構成になっていました。
香りがまだ宗教的な意味合いで使われていた頃の香水瓶は、呪術的な雰囲気が漂っていたり、
中世のものはこれでもかと宝石が散りばめられている工芸作品のようなものだったり。
一連の香水瓶を見ていて、今っぽくなってきたなあと何となく思ったのは、
香水瓶にラベルとかタイトルの表記が入ってきた時代からでしょうか。
 
かつては恐らく、中に入れる香水と外でそれを包む香水瓶は1対1の関係ではなかったのだけど、
大量生産の時代に突入し、香水と香水瓶の関係が1対1の関係となっていって、
香水瓶の中に入っている香水はどんなものであるかという情報を、
香水瓶上に表現する必要性が生まれて、てんやわんやがあって、
例えばブランド名が全面に出てくるような香水瓶が生まれてきたんだなと、そんなことを思いました。
(香水瓶でなく、パッケージやポスターなどで、
香水の世界観を表現する方法ももちろんありましょうが。)
香水と香水瓶の関係が1対1になりはじめてから、
意匠家たちはどんな香水瓶をデザインしてきたのか、
そんな視点で後半は鑑賞していましたが、作品多彩で、非常に見応えありました。
一方で、1対1の関係がさほど強くない時代は、
中身を現代と同じような意味では意識せず純粋に香水瓶をデザインしていたわけで、
そっちはそっちで興味深いものだったりするんですがね。
 
 
東京都庭園美術館
美術館の外観。旧朝香宮邸
 
東京都庭園美術館の芝生
庭園、という名に違わない豊かな芝生
 
ゲラン「夜間飛行」
香水瓶「夜間飛行」(会場では展示されてなかったようですが)
 
 
覚え書き
・入り口付近で「噴水塔」と呼ばれるものを使用した香りの演出。
 資生堂協力によるものだそう。ほのかな上品な香り
・会場はほとんど女性。平日で混雑は少なかったが、
 休日だと作品一つ一つが小さいので、多少混みそうかも
・アラバスター:香油壺の形体。縞目大理石の名から転じて
・ポマンダー:線香を入れる容器。ペスト対策などに
・ネセセール:女性に必要な道具諸々
・ヴィネグレット:気付け薬入れ
・古代社会において香りは宗教的な意味を持っていました。
 神々を崇めるために、地球の怒りを鎮めるために
・20世紀後半の香水産業の主流は
 香水が醸し出す「美」や「贅沢」のイメージを商品化しようというもの
・展示されている香水瓶には、中身がまだ残っているものとそうでないものの2種類が有り。
 まだ残っているものは、当時使っていた人のことが想像されて、
 ちょっとだけ不思議な心持ちに
・最終の展示部屋にあった「天皇陛下御即位記念香水瓶」は、
 桃から何かが生まれてきそうなほど、豪華極まりないものでした。流石エルメス
・会場でもらったリーフレットに掲載されていた香水瓶「夜間飛行」。
 サン=テグジュペリの有名な作品に名前を由来しているそうですが、
 今回は展示されていなかったようです。残念
 (見落としていた可能性もあるけど)
・途中でポスター(当時広告として使われていたもの)といっしょに
 香水瓶が展示されている場所がいくつか有り。
 香水瓶の世界観をより深く広く感じることができて、個人的によかったです