モーリス・ユトリロ展:損保ジャパン東郷青児美術館

2010年6月12日
新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で開催されている、
「モーリス・ユトリロ展 -パリを愛した孤独な画家-」へ行く。
 
サン=ドミニク通りとエッフェル塔
 
小さい頃、といっても高校生の頃だけど、
たまたま見た本の中でユトリロ、という画家の話を見たことがありました。
アル中でどうしようもなかったという部分だけを
何故か名前とともにずっと覚えていて、
破滅型の芸術家の典型的な一人として、認識していました。
もう若くはない今になって、ふと、ユトリロ展のポスターを見て、
あ、そういえば、あいつのことか、と思い出したわけで、
行ってきました、損保ジャパン東郷青児美術館。
ゴッホのひまわり所蔵で有名なここですが、
そういえばゴッホの生涯も言わずもがな、破滅的な面がありますよね。
 
手元の展覧会リーフレットによると、
今回のモーリス・ユトリロ展は、
90点余の作品すべてが日本初公開だったそうです。
会場は程よい混み具合で、鑑賞に不都合がなく、いい感じの展覧会となっていました。
作品は風景画中心。本人はお母さんとその継父(ユトリロより年下らしい)に
貨幣製造器のように扱われていたらしく、
ずいぶんとたくさん作品を残していたそうです。
にしても、貨幣製造器、って、なんかすごいコトバだなあ。
会場の説明パネルには一言も、「ユトリロは不幸だった」、と記載はないのですが、
鉄格子の中で絵を描いていた、鉄格子の中から外に向かい、
「助けて」と記した紙を石で丸め込み、よく投げ捨てていた、などなど、
不幸、という言葉が自然に脳裏によぎりました。安直ですが。
ユトリロはそんな生涯を送っていたわけだけど、
作品はすべて静謐、というようなイメージが漂った風景がばかりで、
何やら厳かな雰囲気さえ感じます。芸術の魔性というやつでしょうか。
物語の中の貧しい女の子が、妙にかわいげだったり、
不幸と美しさのブレンドは、あまり人の生活によろしくないですね。
 
会場には、エッフェル塔を描いた絵がありました。
フランスのシンボルとも言えるエッフェル塔を、
あえて垂直に描かず、微妙にちょびっと曲がって立った姿で描いているところに、
なんか妙な面白さを感じたのだけど、展覧会鑑賞後、42階の窓越しには、
東京タワーと、建設中のスカイツリーが見えました。
 
 
モーリス・ユトリロ展
ユトリロ展の看板.。見えるのは損保ジャパン本社ビル
 
損保ジャパン東郷青児美術館のエントランススペース
損保ジャパン東郷青児美術館のエントランス。42階
 
42階から見える東京タワー
42階から見える東京タワー
 
42階から見えるスカイツリー建造中
42階から見えるスカイツリー建造中(やや見づらい)
 
 
覚え書き
・鉄格子の中で、絵葉書を見ながらアルコール遺伝治療のため、絵を描いていた
・描かれる人は、皆、徹底して遠い。そして後ろ姿。
 たまに人中心の絵があったけど、構図に震えのようなものが
・モンマニーの時代、白の時代、色彩の時代
・ユトリロにとって重要なことは名誉や金銭ではなく、
 一杯の安酒にありつけることだった
・白色、の描き方がとても味わい深し。マチエール
・「エリゼ・デ・ボザール 小路、モンマルトル」。
 なんか、すげえインパクトのある絵でした